ダラス連銀製造業活動指数にみる製造業の深刻度
WTI原油先物価格が史上初のマイナス価格になったことが世界中で大きなニュースになりました。
もし原油を貯蔵するタンクさえあれば勝手にお金持ちになる夢をみたかもしれません。
現実は備蓄したくてももうどこにも原油を貯蔵するタンクが余っていないからマイナス価格になったわけです。ニュースを見ていると、タンカーが通常の何倍ものリース料金になっているそうです。さらには廃棄予定だったタンカーまで持ち出している始末だと。
ダラス連銀製造業活動指数にみる製造業の深刻度
原油は5月、6月、7月あたりまでの経済活動する需要以上にもう余っているので、たとえ原油生産国が減産してもWTI原油先物価格は夏くらいまで上昇してこないとみる向きが多いようです。
地政学リスクでもない限り、実際にそうじゃないかとわたしも思います。
3月、4月に原油生産したぶんがどれだけ余っているかわかるチャートがあります。
それがダラス連銀製造業活動指数です。
ダラス連銀製造業活動指数とは、毎月テキサス州の製造業景況感を調査しているサーベイです。
指数がマイナスになったときは悪化、不況を意味しています。
2019年、プラマイあがりをうろうろしていて、そもそもダウが上昇しているような景気はテキサス州の製造業にはありませんでした。
それが2020年3月にマイナス70ポイント、続く2020年4月にマイナス73.7ポイントと大幅なマイナスになりました。
2008年、2009年のリーマンショックの指数よりも落ち込んでしまいました。
リーマンのときでも-55ポイントくらいだったのが-70をこえてしまいました。
テキサス州の製造業が深刻な状態にあることがわかります。
OPECの甘い見通し
こんな状況にあるのに、アルジェリアのムハンマド・アルカブ・エネルギー大臣兼石油輸出国機構(OPEC)議長はTVのインタビューで、「ブレンド石油のバレル価格の価格下落は収まり、2020年第2四半期の5月6月には40ドルに達すると予想している」と発言したとのことです。
協調原油減産を発表してもなお原油価格が大きく下落したのに、びっくりする甘い見通しを持っていることに危機感を感じます。
原油価格はたぷたぷにあり余って貯蔵されたぶんをまずは消費しない限りは上昇しないとみるのが普通です。
そのためには製造業の景況感が上向いてくる必要があります。
ダラス連銀製造業活動指数を注目しておく価値ありです
株価は新型コロナ対策の経済対策や金融緩和でちっとも実体を反映していないので、ダラス連銀製造業活動指数に注目しておく価値があると思います。
中国の公式統計発表が怪しまれて、電力消費量や鉄道貨物輸送量などそのほかの各種統計資料から実体を推し量ろうとするのに似ているかもしれません。
投資において、アメリカと中国の経済活動の推移を注視しておく必要がとうぶんの間ありそうです。